日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutumの酸素発生PSIIの単離精製
*奥村 彰規寺山 優小川 昂矩栗原 淳志鈴木 健裕堂前 直長尾 遼中里 勝芳榎並 勲
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p. 0158

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抄録
珪藻は、地球上の全植物が行う光合成の25%もの炭酸同化を行っており、水域圏における生態系、炭素循環において最も重要な位置を占める藻類である。しかし、酸素発生光化学系II複合体(PSII)を構成する詳細なサブユニット組成は未だ明らかにされていない。我々は、これまで、中心目珪藻Chaetoceros gracilisから凍結融解法により細胞を破砕し、PSII標品を精製することに成功した[Nagao et al. (2007) Biochim. Biophys. Acta 1767: 1353-1362.]。しかし、この凍結融解法は中心目珪藻の細胞破砕には有効であるが、羽状目珪藻では細胞が破砕されなかった。今回、ゲノム解析がなされている羽状目珪藻Phaeodactylum tricornutumの細胞をエアブラシで温和に破砕できることを見出し、酸素発生活性を持つチラコイド膜の調製に成功した。このチラコイド膜を可溶化した後、遠心分画法やショ糖密度勾配遠心法により高い酸素発生能を保持したPSII標品を得た。この標品にはC. gracilisのPSIIで発見された新規の表在性タンパクであるPsb31も含まれていた。現在、LC-MS/MSおよびN末端アミノ酸配列決定により、PSIIのサブユニット組成を解析中である。これらの解析結果も含めて報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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