日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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珪藻PSIIの5種の表在性蛋白の精製とPSII膜蛋白への再構成
*森口 啓長尾 遼奥村 彰規鈴木 健裕岩井 雅子榎並 勲
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p. 0160

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抄録
珪藻から精製した酸素発生光化学系II標品(Crude PSII)には、PsbO, PsbQ', PsbV, Psb31, PsbUの5種の表在性蛋白が結合している。これらの表在性蛋白の結合様式と機能を明らかにするため、5種の表在性蛋白を精製し、再構成実験を行った。まず、Crude PSIIをアルカリTris処理することにより全表在性蛋白を遊離した後、各種pHで陰、陽イオン交換カラムにかけ、5種の表在性蛋白の精製に成功した。なお、Crude PSIIは不安定で失活しやすいので、Crude PSIIをTriton X-100により可溶化した後、DEAEカラムにより精製したPure PSIIを再構成実験に用いた。Pure PSIIを4 M urea/0.2 M NaCl処理することにより全表在性蛋白を遊離したPSIIに、精製した5種の表在性蛋白をいろいろな組み合わせで再構成した。その結果、PsbOとPsb31は単独でPSIIに完全に、PsbQ’は部分的に結合したが、PsbVとPsbUは単独ではほとんど結合しなかった。PsbVとPsbUの結合には、PsbOあるいはPsb31の存在が必要であった。これらの結果を元に、珪藻の表在性蛋白の結合様式のモデルを作成するとともに、種々の組み合わせで表在性蛋白を再結合したPSIIの酸素発生活性の回復から、5種の表在性蛋白の機能について報告する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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