日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体におけるDYWモチーフを持つPPRタンパク質の多様化した機能
*奥田 賢治Chateigner-Boutin Anne-Laure中村 崇裕Delannoy Etienne杉田 護明賀 史純本橋 令子篠崎 一雄Small Ian鹿内 利治
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p. 0280

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抄録
PPRタンパク質は、35アミノ酸からなるPPRモチーフを反復して持つタンパク質で、葉緑体およびミトコンドリアの遺伝子発現に関与する。高等植物オルガネラにおいてRNA編集は、RNA上のCをUへと変換するものであり、大規模に行われている。我々は、葉緑体のRNA編集にPPRタンパク質がトランス因子として働くことを明らかにした。しかしながら、編集反応を行う触媒因子の実体は未だ不明である。近年、いくつかのPPRタンパク質が持つDYWモチーフが、編集酵素の実体ではないかという仮説が提唱された。しかしながら、DYWモチーフを持つCRR2を欠損している変異株は、葉緑体RNA編集ではなくRNA切断に異常を示す。この矛盾も含めてDYWモチーフを持つPPRタンパク質(DYWサブクラス)の機能を明らかにするために、DYWサブクラスを欠損するcrr22crr28変異株の解析を行った。その結果、crr22crr28は特定の葉緑体RNA編集能を欠損していることが明らかになった。しかしながら、in vivoでCRR2のDYWモチーフは必須であるが、CRR22とCRR28のDYWモチーフは不要だった。また、CRR22とCRR28のDYWモチーフはCRR2のDYWモチーフと機能的に相補できないことがわかった。本発表では、得られた結果を基に、葉緑体におけるDYWサブクラスとRNA編集の進化的関係を議論したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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