抄録
bHLH型の転写因子であるPHYTOCHROME INTERACTING FACTOR 3 (PIF3) は、phytochrome B(phyB)の活性型特異的に相互作用する。本研究では、この相互作用に必要なphyB分子内の領域を特定するために、phyBのN末端領域内の変異を解析した。
まず、PIF3との相互作用を低下させるようなphyBのN末端領域内の変異をYeast Two Hybridシステムの変法によりスクリーニングした。このスクリーニングで得られた変異と、我々が以前に単離した、シロイヌナズナの赤色光応答を低下させるような変異を合わせた、15個の変異がPIF3との相互作用を低下させる事を確認した。これらの分光学的特性への影響を調べたところ、これら15個の変異は1)分光学的特性に異常がみられる変異(11個)、2)分光学的特性に異常がみられないにも関わらずPIF3との相互作用を低下させる変異(4個)、の二つに分類された。この内、後者はPIF3との相互作用に直接的に関わると考えられる。
既に結晶構造が明らかにされているBphPとphyBの配列を比較すると、2)に分類される4個の変異のうち3個が、PASドメインとGAFドメインの間の結び目構造の表面に見つかった。この事から、これら3個の変異が見つかったアミノ酸残基がPIF3との相互作用に直接的に関わっている事が示唆された。