抄録
植物の芽生えは、重力と光を認識して生長方向を決定する。興味深いことに、芽生えは青色光に対して強い光屈性を示すが赤色光には重力屈性阻害を示す。光屈性は主にフォトトロピン (phot1, phot2)により制御され、重力屈性阻害はフィトクロム (主にphyA, phyB)により制御される。
PKS1はphyA、Bの相互作用因子として単離されたタンパク質である。これまでに我々は、シロイヌナズナPKSは4つの分子種(PKS1-4)が存在し、pks変異体は低青色光の光屈性に異常を示すこと、さらにPKS1はphot1と相互作用することを明らかにした。本研究で我々はpks変異体の屈性反応ついて詳細に解析を行った。まず野生型の芽生えの生長方向を90度転換させ、赤色光の重力屈性への影響を観察した。その結果、芽生えの赤色光に対する反応は、重力屈性の阻害ではなく別の応答によって重力屈性阻害のように観察されることが分かった。そしてPKS1とPKS4はこの未知応答に重要であることが分かった。次にphot1pksとphyApksの変異体を用いてphot1依存の光屈性を調べた結果、PKS1、PKS4は主にphot1依存の経路で重要であることが分かった。phyAは青色光によっても活性化されることから、PKS1とPKS4は低青色光条件下でphyA、phot1依存の両屈性反応経路に関与することが示唆された。