日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの環境ストレス誘導性NACファミリーに属するOsNAC5の解析
*高崎 寛則中島 一雄圓山 恭之進城所 聡伊藤 裕介篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0320

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抄録
イネには約100種類のNAC型転写因子が存在し、環境ストレス誘導性NACが多数含まれるサブファミリーも存在する。これまでに、このサブファミリーに含まれるOsNAC6が、乾燥や塩等の環境ストレス耐性や病害耐性に関わることを明らかにしてきた。OsNAC5はOsNAC6に最も近いイネNAC遺伝子で、それぞれイネ以外の単子葉作物にも相同遺伝子が存在している。マイクロアレイ解析等からOsNAC5は塩誘導性が特に強いことが示された。また、イネの培養細胞を用いたトランジェント発現実験から、OsNAC5にはC末端付近に転写を活性化する領域があることが明らかになった。さらに、OsNAC5-sGFP融合遺伝子をイネプロトプラストに導入する実験から、OsNAC5は核に局在することが示された。OsNAC5 を過剰発現したイネは塩土壌に対して強い耐性を示した。一方、マイクロアレイを用いた解析から、OsNAC5を過剰発現したイネにおいてLEA遺伝子を含む多数のストレス誘導性遺伝子の発現が増加していることが確認された。さらに、イネ培養細胞を用いた転写活性化実験において、LEA遺伝子のプロモーターはOsNAC5によって活性が増加することが示された。これらの結果から、OsNAC5はLEA遺伝子を含む多くのストレス誘導性遺伝子を制御する転写活性化因子であることが明らかになった。
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© 2009 日本植物生理学会
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