日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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SUP32/UBP26によるヒストンH2Bの脱ユビキチン化は花成抑制因子FLCのエピジェネティックな転写活性化に必要である
*玉田 洋介Schmitz Robert J.Doyle Mark R.Zhang XiaoyuAmasino Richard M.
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p. 0423

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抄録
シロイヌナズナにおいて、FLOWERING LOCUS C (FLC) 遺伝子は花成の抑制に中心的な役割を果たしている。FLC遺伝子の転写はヒストンH3のリシン残基のメチル化やアセチル化、ヒストン変異種であるH2A.Zの挿入などといったエピジェネティックなメカニズムによって高度に制御されている。これらに加えて、ヒストンH2Bの脱ユビキチン化がFLC遺伝子の転写活性化に関与していることを明らかにしたので、それを報告する。シロイヌナズナにおけるヒストンH2Bの脱ユビキチン化酵素をコードするSUP32/UBIQUITIN-SPECIFIC PROTEASE 26 (UBP26) 遺伝子の機能破壊株において、FLCの発現低下に伴う早期開花の表現型を観察した。さらに、機能破壊株のFLC遺伝子座においてモノユビキチン化されたヒストンH2Bの過剰蓄積が観察されたと同時に、36番目のリシン残基がトリメチル化されたヒストンH3 (H3K36me3) の蓄積の低下とH3K27me3の蓄積の上昇が観察された。H3K36me3はFLC遺伝子の転写活性化に、H3K27me3は転写抑制にそれぞれ関与する。以上のことから、SUP32によるヒストンH2Bの脱ユビキチン化はヒストンH3のリシン残基のメチル化を制御することによってFLC遺伝子の転写を活性化し、開花を抑制していることを明らかにした。
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© 2009 日本植物生理学会
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