日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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原形質連絡による細胞間情報伝達制御と細胞の分化状態との関係性を探る
*北川 宗典佐藤 良勝藤田 知道
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p. 0453

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抄録
植物の形態形成の基礎をなす細胞の運命決定には、個々の細胞の位置情報が重要である。この位置情報の伝達手段の1つである原形質連絡は、特に高分子シグナルの輸送に機能しており、その中で自身のSEL(サイズ排除限界)を調節し、高分子シグナルの輸送を制御することで、結果的に植物の発生に重要な役割を果たしていると考えられている。
原形質連絡のSEL制御は被子植物において解析が進んでおり、植物体の特定の部位や発生段階に応じてその時空間的な制御が確認されている。しかし、様々な分化状態の細胞によって3次元的に構築される被子植物では、個々の細胞におけるSEL制御の解析が困難であり、従って、SEL制御が個々の細胞の分化状態に及ぼす影響は未だ明らかではない。
そこで私達は、この問題に単純な体制をもつヒメツリガネゴケを用いて取り組んでいる。これまでに、ヒメツリガネゴケ原糸体の特定の細胞を破壊することにより、個々の細胞の位置情報を人為的に変化させ、細胞の増殖・非増殖を切り替えられる系を確立した。さらに、光変換型蛍光タンパク質を用いた高分子の細胞間移動の可視化にも成功した。また、細胞周期追跡用マーカーによる細胞周期の可視化も試みている。私達はこの3つの系を組み合わせ、ライブイメージングによる原形質連絡・細胞分化・細胞周期の動的関係の観察を通し、原形質連絡の時空間的なSEL制御を細胞レベルで解析している。
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© 2009 日本植物生理学会
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