日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ胚発生におけるサイトカイニンの機能の解明
*佐々木 恵理加澤 進一郎経塚 淳子
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p. 0475

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抄録
高等植物の地上部の器官はすべて茎頂分裂組織(Shoot Apical Meristem: SAM)から形成される。SAMの機能を正常に維持するためにはサイトカイニンが必須である。イネのLONELYGUY(LOG)遺伝子はサイトカイニン生合成の最終ステップを触媒する酵素をコードし、SAMの活性を制御している。log-6変異体のSAMは胚発生初期から野生型のSAMより小さく、生殖成長期になると消失してしまう。そして、log-6変異体でSAMが小さいことの原因はSAMの細胞数減少であったことから、サイトカイニンはSAMの細胞分裂を促進することが示唆された。
サイトカイニンによるSAMの細胞数制御についてより詳細に解析するために、LOG過剰発現体(LOGox)を作成し、その表現型を観察した。LOGox植物は外見上の異常は認められなかったが、複数の系統において種子発芽時に複数のシュートが発生するという表現型が観察された。これは、胚発生においてサイトカイニンがSAM形成に関わることを示唆している。イネでは、受精後3日目にSAMの位置が決定し、4日目にはSAM原基が確認できる。しかし、SAM形成におけるサイトカイニンの機能は明らかになっていない。LOGox植物の胚発生を詳細に解析することにより、新たな知見が得られるものと期待される。
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© 2009 日本植物生理学会
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