日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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中日性植物におけるFTホモログ遺伝子の発現と機能の解析
高橋 恵美*後藤 弘爾
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p. 0494

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抄録
日長に影響されずに花成が起きる中日性植物のトマトには、FTクレードに属するホモログとしてSP3D、SP5G、SP6Aの3遺伝子が存在する。SP3D遺伝子の突然変異体は、single-flower trussと呼ばれ、遅咲き表現型を示すので、SP3Dは花成遺伝子の一つと考えられている。しかし、他の2遺伝子については、その機能は明らかになっていない。
アラビドプシスでは、FT遺伝子の発現は日長と概日リズムの影響を受けていることから、トマトにおけるSP遺伝子群の発現の日周変動を各日長条件下で調べた。その結果、SP3Dは日長に応答せず一定の低い発現を示したが、SP5Gは長日条件では日の出4時間後にピークを示し、短日条件ではほとんど発現がみられなかった。また、SP6Aの発現はほとんど検出できなかった。また、栽培トマトの近縁野生種について、各遺伝子の発現を調べたところ、SP5Gの発現パターンはほぼ同じであったのに対し、SP3Gの発現パターンは、いくつかの短日性トマトにおいて、短日条件下の暗期にピークを示した。現在、SP5G、SP6Aの機能を明らかにするため、これらの遺伝子を構成的に発現したり、RNAiによってその発現を抑制したりした形質転換体を作製し、表現型の解析を進めている。また、別の中日性植物であるタバコのFTホモログの発現解析についても報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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