日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コムギの葉における花成関連遺伝子ネットワーク: AP1/FUL-like遺伝子がFT遺伝子の上流に位置する
*村井 耕二鈴木 隆之嶋田 早苗北川 哲阿部 知子
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p. 0495

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抄録
コムギにおけるAP1/FUL-like遺伝子VRN1は、花成における促進遺伝子として、葉で働く重要な遺伝子である。イオンビーム処理により、2倍体の一粒系コムギにおいて、VRN1遺伝子領域が欠失した変異体maintained vegetative phase (mvp) を得た。mvp変異体は、低温処理にも長日条件にも応答せず、栄養成長を続けて生殖成長へ移行しない。mvp変異体では、ゲノム中に完全なFT遺伝子が存在するにもかかわらず、FTの発現が見られない。このことから、VRN1遺伝子はFT遺伝子の上流に位置し、FT遺伝子発現に何らかの関与をしていると考えられる。一方、正常コムギ系統では、短日条件下でもVRN1の発現はみられるが、FT発現はみられない。また、遺伝子発現パターンの解析から、コムギでは2種類のCO-like遺伝子が機能分化して働いていると考えられる。長日条件におけるVRN1とCO-like遺伝子によるFT遺伝子発現誘導モデルを提唱する。
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© 2009 日本植物生理学会
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