抄録
本研究の目的は,児童福祉司に対する研修の効果を感想データから検討することだった。研修は,「傾聴」と「連携」(保護者連携)の要素を含む統合的葛藤解決スキルに焦点を当てていた。210 分の研修を実施した。研修に参加した地方A 都市の児童福祉司19 名のうち,15 名の協力者から得られた31 個の感想データを,KJ 法(川喜田, 1967)に準じて整理した。その結果,「傾聴技法を学んだ(13 記述 / 41.9%),」,「『傾聴』以外の統合的葛藤解決スキルを学んだ(7 記述 / 22.6%)」,「研修で学んだ内容では不十分と思った(3 記述 / 9.7%)」,「実践的な内容で,参考になった(8 記述 / 25.8%)」という4 つの大カテゴリに整理された。児童福祉司に対する「傾聴」と「連携」スキルを向上させるために統合的葛藤解決スキルの研修が一定の効果をもつことが示唆された。