日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアにおけるカロテノイド、合成経路、遺伝子
*高市 真一持丸 真里
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p. 0564

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抄録
シアノバクテリアは光捕集や光防御のために多種多様なカロテノイドを必ず持っている。特にカロテノイド(ミクソール)配糖体やケトカロテノイドは他の光合成生物には見られず、シアノバクテリア特有のカロテノイドである。40種以上のシアノバクテリアのゲノム塩基配列が決められたが、カロテノイドが同定されていない種や株もある。カロテノイドの合成機能が確認された遺伝子をもとに、相同性検索から遺伝子を検索した。相同性はあるものの、その機能がないあるいは生産物のカロテノイドがない遺伝子、相同検索では見つからない遺伝子もあった。リコペンをβ-カロテンにする酵素は、植物類似のシネココッカス PCC 7942 CrtL とプロクロロコッカス MED4 CrtL、緑色硫黄細菌類似のシネココッカス PCC 7002 CruA/CruP の機能が確認されているが、他種にある相同遺伝子の一部は機能を持たない。水酸基を作るCrtRはβ-カロテンをゼアキサンチンにし、ミクソールも作るが、アナベナ PCC 7120 などではβ-カロテンを基質にできない。CrtGはゼアキサンチンをノストキサンチンに、またミクソールを2-OH-ミクソールにする。ケト化酵素には、β-カロテンをエキネノンにするCrtO/CrtWと、ミクソールをケトミクソールにするCrtWがある。遺伝子の有無、基質特異性の差異がカロテノイドの多様性を作り出す。
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© 2009 日本植物生理学会
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