日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアにおけるPsb28タンパク質の機能解析
*酒田 慎也久保田 寿子桜井 勇水澤 直樹和田 元
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p. 0575

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抄録
光化学系II (PSII) 複合体のアセンブリー中間体に結合し、PSII複合体の構築や活性の調節に関与すると考えられているタンパク質の一つにPsb28がある。我々は、Psb28がSynechocystis sp. PCC 6803のチラコイド膜を構成する脂質であるホスファチジルグリセロールやジガラクトシルジアシルグリセロールの合成能を欠損した株のPSIIに蓄積することを見いだした。今回、psb28破壊株や脂質欠損株を用いてPsb28の機能解析を行ったので報告する。
Synechocystisを用いて作製したpsb28破壊株は、通常の培養条件では野生株と同様に生育し、細胞の酸素発生活性も野生株と同程度であった。しかし、高温条件下ではpsb28破壊株の増殖が抑制された。Psb28が結合している複合体を調べるためにPsb28にHisタグを付加した株を作製し、Niアフィニティークロマトグラフィーによって精製を行った。得られた複合体をBN/SDS-PAGEによって分析したところ、Psb28は主にCP43が欠落したPSIIのアセンブリー中間体に結合していることが明らかとなった。これらの結果は、Psb28がPSIIアセンブリー中間体の安定化を介して、シアノバクテリアの高温条件への適応に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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© 2009 日本植物生理学会
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