日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チラコイド膜を持たないシアノバクテリアGloeobacter violaceus PCC 7421のゲノム中に見られるvipp1様遺伝子の機能解析
*佐藤 壮一郎土屋 徹三室 守
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p. 0599

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抄録
Gloeobacter violaceus PCC 7421はチラコイド膜を持たず、細胞膜に光合成電子伝達系が存在することを大きな特徴としている。これまでにいくつかのシアノバクテリアのチラコイド膜形成関連遺伝子が同定されており、Synechocystis sp. PCC 6803のvipp1(vesicle-inducing protein in plastids 1)がチラコイド膜形成に必須であり、vipp1と有意な相同性を示すpspA(phage shock protein A)にはその機能がないことが報告されていた[1]。一方、G. violaceusのゲノム配列からvipp1様の遺伝子としてglr0898が発見されたが、一次配列からは機能を推定できなかった。
我々はglr0898の機能を調べる為、Synechocystisの野生株にglr0898遺伝子を導入し、内在型のvipp1遺伝子を欠損した変異体の生理学的解析を行った。この変異体は野生株とほぼ同様の生育速度と細胞の吸収スペクトルを示し、クロロフィル含量の低下も見られなかった。以上の結果はglr0898Synechocystisvipp1の機能を相補したことを示唆している。


[1] Westphal et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 4243.
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© 2009 日本植物生理学会
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