日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タマネギ鱗茎形成を制御する内生因子の解明
*望月 達史斉藤 新松塚 祐樹高田 晃幸田 泰則
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p. 0703

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抄録
[目的]タマネギは初夏の長日条件に反応し葉鞘基部を肥大させて鱗茎を形成する。鱗茎形成は、形成を促進する物質と阻害する物質のバランスで制御されていると考えられている。GAは阻害物質の候補とされてきたが実際の鱗茎形成への関与は不明である。また促進物質は明らかにされていない。そこで本研究ではそれらの解明を試みた。[方法・結果]GAが鱗茎形成阻害物質であると考えられていたため、GAの生合成阻害剤を高濃度ショ糖と組み合わせてタマネギ幼植物に与えたところ、in vitroで鱗茎が形成された。そこでこの培養系を鱗茎形成活性検定法として用い、タマネギの鱗茎形成を制御する内生因子を探索した。鱗茎形成が始まる以前のタマネギ葉から得られたヘキサン可溶性画分には阻害活性が認められた。精製の結果、最も強い活性を示す物質として遊離の不飽和脂肪酸類が単離された。なお、GAを含むと考えられる酢酸エチル可溶性画分には阻害活性は見られなかった。一方、鱗茎形成開始時の葉から抽出した水溶性画分には強い促進活性が認められた。この画分にはショ糖が含まれるが、ショ糖は高濃度でわずかな促進活性を示すに過ぎなかった。現在、促進物質の分離を試みている。現在、圃場での鱗茎形成に伴う不飽和脂肪酸類の量的変動を検討中である。また、GA生合成阻害剤によるin vitroでの鱗茎形成促進が不飽和脂肪酸類の減少を介しているかも調べている。
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© 2009 日本植物生理学会
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