日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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MYB型転写因子GAMYBによるエキシン形成制御機構はいつ誕生したか?
*安益 公一郎上口(田中) 美弥子平野 恒松岡 信
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p. 0704

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抄録
GAMYBは大麦のアリューロンにおいてジベレリン(GA)応答遺伝子群の発現を制御する転写因子として同定された。今までに我々は、イネを用いた解析から、GAMYBが脂肪酸代謝酵素CYP703A3の遺伝子発現を誘導することで、花粉表面のエキシン形成に関与することを見いだした。最近、GA受容システムが維管束植物の発生後に誕生し、保存されていることが報告された。そこで本研究では、GAMYBによるエキシン形成制御機構も維管束植物間で保存されているかを、小葉類イヌカタヒバ(S.moellendorffii)を用いて検証した。
まず単離したSmGAMYBSmCYP703A遺伝子の発現パターンを調べたところ、両者はタペータムと雄性胞子でのみ発現していた。またSmGAMYBがSmCYP703A遺伝子のプロモーター領域にin vitroで結合すること、イネのgamybcyp703a3変異体を用いた相補性検定の結果から、SmGAMYBとSmCYP703Aがイネと同等の機能を有することを確認した。さらにGA生合成阻害剤を処理した個体ではエキシン形成異常が見られ、且つこの異常がGA処理により回復した。これらの結果は、少なくとも維管束植物の発生後にはGAがエキシン形成過程に関与していたことを示唆している。本研究の一部は、文科省特定領域研究「植物ゲノム障壁」の支援をうけて実施された。
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© 2009 日本植物生理学会
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