日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナの花粉におけるDCP2顆粒の解析
*深谷 雄志田上 優子本瀬 宏康渡辺 雄一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0767

詳細
抄録
Processing body(PB)は酵母およびヒトの細胞質に点在するメッセンジャーRNAを含むリボ核タンパク質(mRNP)の集合体で、mRNAの脱キャップ化、翻訳抑制、RNA干渉に重要な役割を担う場であると考えられている。PBで行われるmRNAの脱キャップ化はmRNA発現抑制の重要な段階であり、近年の研究により脱キャップ化酵素は植物にも保存されていることが明らかにされた。しかし、PB形成がどのように植物の成長や生育環境によって制御されているかについてはいまだに知られていない。本研究では、mRNA脱キャップ化酵素であり、PB構成因子であるDCP2/TDTが、Arabidopsis thalianaの花粉細胞質において顆粒を形成することを明らかにした。また、この顆粒は花粉管伸長に伴って花粉管を進んでいくことも発見した。シクロヘキシミドやピューロマイシンで処理するとDCP2顆粒の数が変化することから、ポリソームからのmRNA流入が顆粒形成にかかわっていることが示唆された。花粉で形成されるDCP2顆粒は生殖細胞内でのmRNA代謝に重要な役割を担っているのではないかと予想された。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top