抄録
太陽電池材料内の欠陥は再結合中心としてはたらくことが知られており,高効率化を目指す上で太陽電池材料の結晶性向上が必要である.本研究では,反応性スパッタ法で作製したCu2O薄膜の結晶性について議論し,高結晶性Cu2O薄膜を得るための新しい作製法として雰囲気制御熱処理による方法を提案する.反応性スパッタによって作製した薄膜の結晶性は低く,表面にCu欠陥が存在することを示唆した.一方,Cu薄膜を雰囲気制御熱処理した試料は,高い結晶性のCu2O薄膜であることがわかり,表面のCu欠陥を低減させることができた.また,抵抗率やホール移動度も評価し,結晶性との関係について検討した