日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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CGS1 のmRNA 分解に影響を与える温度感受性変異株の解析
*山下 由衣飯田 篤史鈴木 昭徳千葉 由佳子尾之内 均内藤 哲
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p. 0770

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抄録
シスタチオニン γ-シンターゼ (CGS) は植物のメチオニン生合成の鍵段階を触媒する酵素である。CGS をコードするシロイヌナズナの CGS1 遺伝子の発現は、メチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニンに応答し、mRNAの安定性の段階で負のフィードバック制御を受ける。この制御において、CGS1 遺伝子の第1エキソンが必要十分で、第1エキソンの中でも特に MTO1 領域のアミノ酸配列が重要であることが示されている。このMTO1 領域のペプチドがリボソームにシスに作用して翻訳が一時停止し、それと共役して自身をコードする mRNA の分解が誘導されると考えられている。
この制御に関与するトランス因子を遺伝学的に同定するため、CGS1 第一エキソンを GFPおよび GUS 遺伝子にそれぞれつないだ2種類のレポーター遺伝子を持つ形質転換シロイヌナズナを親株として用い、2つのレポーター活性を指標にして CGS1 転写後制御の欠損変異株の分離行った。翻訳や mRNA 分解に関わる普遍的な因子の関与が考えられたため、そのような因子の変異株も温度感受性変異株として分離できるようにスクリーニングを行った。その結果、CGS1 の転写後制御にトランスに働く因子の突然変異株であると考えられる4つの候補株が分離された。現在はこれらの候補株の解析、および原因遺伝子の同定を行っている。
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© 2009 日本植物生理学会
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