日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体翻訳開始に関与するトランス因子
*黒田 洋詩杉浦 昌弘
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p. 0774

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抄録
タバコ葉緑体ゲノムには約80種類のタンパク質がコードされており,それらは葉緑体に存在する独自の遺伝子発現系により合成される.基本的に原核型の装置により翻訳される葉緑体mRNAには,大腸菌等のmRNAにみられるShine-Dalgarno(SD)様の配列がないものが多く,そのようなmRNAの翻訳開始には核コードのトランス因子が関与すると考えられている.我々はタバコ葉緑体由来のin vitro翻訳系やゲルシフト等の手法を用いて葉緑体における翻訳開始機構を解析し,これまでに真の翻訳開始点や翻訳開始に必要なシス配列を明らかにしてきた.しかし,トランス因子は明らかになっておらず,メカニズムにも不明な点が多い.そこで,いくつかのSD様配列を持たないmRNAの翻訳開始に共通のトランス因子が関与する可能性をゲルシフト法で調べた.psbN 5'非翻訳領域(5'-UTR)上のU-richな領域へのトランス因子の結合は,atpB 5'-UTR上のU-richな領域に強く阻害された.この他にも,psbN 5'-UTRへのトランス因子の結合を阻害する5'-UTRが複数見つかった.また,この結合はpolyUにも阻害されたが,polyAやpolyGでは阻害されなかった.以上の結果から,psbN翻訳開始機構を考察する.
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© 2009 日本植物生理学会
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