抄録
干渉合成開口レーダー(干渉SAR)は、地表面の変位を面的に把握する技術として、すでに多くの実績がある。2006年1月に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち」に搭載されたPALSARは、干渉度が極めて高く、これまでになく高い分解能で変位を捉えることができる。国土地理院は、平成19年3月に発生した能登半島地震に伴う地殻変動を「だいち」のSAR干渉画像により解析し、精度の高い震源断層モデルの推定を行ったが、SAR干渉画像には、断層運動による広域の弾性的変形に加えて、局所的な地表の変位を反映した微小な変化パターンが多数みられた。既存の地すべり地形との関係や現地での観察と照らし合わせて検討した結果、これらは、地震動に伴う数cm~数10cmのわずかな地すべり性の変形が捉えられていることがわかった。このため、異なる軌道からの2組のSAR画像を用いて、衛星視線方向の変位を、上下方向と東西方向の成分に分離して移動量の分布を求めたところ、地すべりの内部構造から想定される変動パターンと整合する詳細な地表変動が明らかになった。SAR干渉画像は、現地調査や空中写真判読では捉えることが難しい微小な地すべり性の変位を網羅的に捕捉していると考えられ、防災対策上きわめて有効な情報を提供することができると考えている。