日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネモノガラクトシルジアシルグリセロール合成酵素過剰発現タバコは塩と乾燥耐性を高める
*Uddin Md. ImtiazQi YanhuaEltayeb Amin ElsadigKoso TakayoshiYin LinaKaminaka HironoriSakaki TakeshiTanaka Kiyoshi
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p. 0797

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抄録
イネを乾燥、塩ストレス、冠水処理した時にモノガラクトシルジアシルグリセロール合成酵素遺伝子(OsMGD)が誘導された(Qi, Tanaka et al., :Planta 2004)。本遺伝子を過剰発現させたタバコを用いて、塩や乾燥化での本酵素の役割について調べた。OsMGD形質転換植物の作出はゲノムPCRとイムノブロット法で確認された。OsMGD形質転換植物は、野生タバコと比較して、塩ストレス下でより良い成長と活力を示し、塩と乾燥ストレス下でより高い光合成活性と光化学系II量子収率を示した。形質転換植物は、野生植物と比べて、有意に高いモノガラクトシルジアシルグルセロールMGDG),ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)、脂質リン含量を示した。塩ストレス時に、MGDG とDGDGは野生タバコより有意に高いレベルを示した。MGDG とDGDG中の全脂肪酸組成は野生タバコと形質転換タバコで、72時間の塩処理の間は変わらなかったが、野生タバコでのみ、両糖脂質中のα-リノレイン酸レベルのわずかな減少が認められた。これらの結果はOsMGD過剰発現植物は糖脂質組成を回復させることで膜構造と機能を安定化させることで、塩ストレス耐性に対応したことを示す。
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© 2009 日本植物生理学会
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