日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの葉肉プロトプラストを用いた避陰応答における光信号伝達と植物ホルモンの相互作用の解析
*高野 雄也小塚 俊明望月 伸悦長谷 あきら
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p. 0858

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抄録
避陰応答においては、フィトクロム(phy)が光可逆的に不活性型に変換された結果、様々な遺伝子の発現が誘導され、胚軸・葉柄の伸長などの生理応答が引き起こされる。またこれらの生理応答に様々な植物ホルモンが関わっていることが、個体・器官レベルで明らかにされている。しかし植物個体を用いた実験のみでは、組織/器官間の信号伝達と細胞内の信号伝達を区別することは困難である。そこで本研究では、他の組織からの影響を排除し、細胞外の植物ホルモンのレベルを容易に調整できる実験系として、葉肉プロトプラストを用いて避陰応答性遺伝子の発現に植物ホルモンがどのように影響するのか調べた。シロイヌナズナの葉肉細胞からプロトプラストを調整し、end-of-day far-red(EOD)処理により避陰応答を誘導し、代表的な避陰応答性遺伝子AtHB2の発現量をqRT-PCRで測定したところ、期待したとおり発現の上昇が認められた。そこで様々な植物ホルモン存在下でAtHB2遺伝子の避陰応答を調べたところ、EOD処理(phy不活性型)した条件でのみオーキシン添加により発現量が増進された。この結果は避陰応答における光の信号伝達を、オーキシンが増進することを示唆している。現在、両者を結びつける因子の候補として、PIF5(phytochrome-interacting factor 5)について解析を行っている。
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© 2009 日本植物生理学会
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