日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ホウライシダ前葉体の赤色光による葉緑体光定位運動 ― phy3/neo1 に依存しない光運動反応の存在
*杉山 由香門田 明雄
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p. 0868

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抄録
ホウライシダ前葉体細胞での赤色光による葉緑体光定位運動はphy3/neo1を光受容体とすることが知られている。しかし、このphy3/neo1を欠失したrap変異体において、赤色光下で葉緑体の光定位が見られることを見出した。rap前葉体細胞への赤色光微光束による部分照射ではphy3/neo1依存の「指向的な」葉緑体運動は認められないが、前葉体表面全体に垂直方向から、あるいは側方から赤色光を照射するとdark positionからlight positionへの葉緑体移動が見られる。これは光の方向に依存しない「無指向的な」光運動反応であると考えられる。また、この反応はrap7, rap31など他のrap変異体でも認められた。また、rap2前葉体での赤色光による葉緑体光定位運動は光合成阻害剤DCMUで阻害されることがわかった。さらに、野生株の前葉体においても、同様のDCMU処理で無指向的な葉緑体運動のみが阻害されることが観察された。そこで、光合成産物であるグルコースを暗所で処理すると、rap2、野生株ともにDark positionからLight positionへの葉緑体運動が光照射なしで誘導された。これらの結果は、rap変異体での赤色光によるDark positionからLight positionへの葉緑体運動が光合成に依存した無指向的な光運動反応によることを示している。
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© 2009 日本植物生理学会
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