抄録
チオレドキシンは全ての生物が持っており、様々な標的タンパク質中のジスルフィド結合を還元することにより、その機能を制御するタンパク質である。多くの生物においてチオレドキシンは酸化ストレスからの防御機構に重要な還元力の供給源として働いているが、光合成生物では、光合成反応に付随して起こる様々な他の反応をこれにリンクさせるという重要な役割を担っている。シロイヌナズナ葉緑体には、10種類のチオレドキシンアイソフォームが存在する。これらのチオレドキシンアイソフォームは、それぞれに異なる標的タンパク質を還元していると考えられるが、その使い分けについてはほとんど明らかになっていない。私たちは、チオレドキシンアイソフォームの標的タンパク質選択性は、チオレドキシンと「標的タンパク質」間の親和性の違いによって記述できると考えた。そこで、表面プラズモン共鳴法を利用して、個々のチオレドキシンアイソフォームと標的タンパク質の親和性を測定することにした。具体的には、各種の葉緑体型チオレドキシンアイソフォームと、代表的なチオレドキシンの標的タンパク質である葉緑体型FBPase, PrxQの相互作用を測定した。これらの結果から、チオレドキシンの標的タンパク質の親和性について議論する。