抄録
DNAマイクロアレイを用いてラン色細菌Synechocystis sp.PCC6803の酸性ストレスに応答する遺伝子を解析したところ、two component systemのレスポンスレギュレーターの一部が、発現増加していることが明らかとなった。このことは、レスポンスレギュレーターが、酸性ストレス応答遺伝子の調節を行っている可能性を示唆している。そこで、今回我々は、酸性ストレスで発現が増加したレスポンスレギュレーター遺伝子の欠損株を作出し、酸性ストレスへの影響を検討した。欠損株と野生株をpH6.0のBG-11培地で約1週間、培養し、その生育を比較したところ、slr0081欠損株の生育が顕著に抑制されていることが明らかとなった。そこで、酸性ストレス条件下でslr0081欠損株と野生株のDNAマイクロアレイ解析を行い、酸性ストレス条件下においてどのような遺伝子を制御しているのかを同定したところ、我々が見出した酸性ストレスに直接的に関与していると考えられている遺伝子、sll0939、slr0967の発現量が低下していた。そこで定量的Real-time-RT-PCRによりその発現を詳細に解析したので報告する。