2003 年 2 巻 1 号 p. 40-44
本研究の目的は人間の行為と空間の関連を考察することにある.このため,アイテムによってしつらえられた空間であるアイテム空間に着目し,コンビニエンスストア前での人間行動の観察に基づき,空間選択の諸相を分析した.観察は東京都の多摩市永山と調布市柴崎で各一か所の店舗で行った.前者の店舗は前面道路から駐車スペース分の広い「ひき」があるが,後者にはない.結果として,行動の回数と積算時間はともに店舗入口からの距離減衰傾向があることが判明した.ただし,この傾向は単独で行われる事の多い行動とインタラクションを起こして行われる事の多い行動では異なる.またゴミ箱などのアイテムも空間選択に影響を及ぼす.