日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのコリンおよびホスファチジルコリン代謝機構の解析
*服部 侑三屋 史朗藤原 崇志高倍 鉄子
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p. 0916

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抄録
植物のプラスチド以外の膜を構成する主要なリン脂質ホスファチジルコリン(PC)はCDP-コリン経路を介して合成される。一般に乾燥や低温によるPC代謝の活性化はストレスに対する生理応答として知られるが、植物の環境ストレス時におけるコリンおよびPC代謝の生理的意義は未だ不明な点が多い。私たちはCDP-コリン経路の初段階であるコリンのリン酸化を触媒するコリンキナーゼ(CK)に注目し、本発表では植物の耐塩性におけるコリンおよびPC代謝の役割について検討する。シロイヌナズナでは塩ストレスによりCKの酵素活性が上昇することから、シロイヌナズナCKをコードするAtCK1とその同質遺伝子と考えられるAt1g74320およびAt4g09760のT-DNA挿入変異系統を用いて生育を調べたところ、At4g09760変異体では野生型に比べてNaClを含む培地で発芽率が低下した。一方、正常に発芽させた後NaClを含む水耕液で生育させた場合では、ck変異系統と野生型の間で地上部の生体重・乾物重に差は見られなかった。しかしながら、コリン代謝産物含量を測定した結果、通常条件下におけるPC含量はck変異系統と野生型の間で大きな差は認められなかったが、At1g74320変異体の地上部のコリン含量が野生型に比べて増加していた。現在、塩ストレスに対するck変異の影響について生殖器官を中心に調査している。
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© 2009 日本植物生理学会
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