日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

オオムギのグリシンベタイン合成の組織特異性に関する研究
服部 侑三屋 史朗藤原 崇志*高倍 鉄子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0917

詳細
抄録
オオムギにおいて、グリシンベタイン(GB)は塩ストレス時に合成・蓄積される主要な適合溶質の一つである。植物における適合溶質の合成・蓄積機構は主に細胞レベルで詳細に解析されているが、組織および植物全体での動態には不明な点が多い。本研究ではオオムギの組織におけるGBの合成・蓄積機構を明らかにすることを目的とし、GB合成の最終段階を触媒するベタインアルデヒド脱水素酵素(BADH)の局在、およびオオムギBADHをコードするBBD1およびBBD2遺伝子の発現部位を組織レベルで調査した。In situハイブリダイゼーション解析の結果、葉においてBBD1およびBBD2遺伝子は葉肉細胞で恒常的に発現していた。一方、塩ストレスを与えたオオムギの葉では、BBD2 mRNAのシグナルが木部柔細胞で強く観察された。また、塩処理後の根では、BBD1 mRNAのシグナルが表皮組織で観察され、BBD2 mRNAのシグナルは内鞘細胞で強く観察された。さらに、BADHタンパク質の組織局在を調べたところ、塩処理後の葉では木部周縁の柔細胞、根では表皮および内鞘細胞で強いシグナルが観察された。我々は、BBD2はベタインアルデヒド(BA)をよい基質とするが、BBD1はBAに対して非常に低い親和性を示すことを報告している。よって、塩ストレス下のオオムギではGBが葉の維管束柔細胞および根の内鞘細胞で合成されることが示唆された。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top