日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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N,N-ジメチルスフィンゴシンは活性酸素生成を介さずに植物の感染防御応答を誘導する
*柴田 裕介閏間 貞雄竹本 大吾川北 一人
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p. 0982

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抄録
植物は病原菌が有するエリシター物質を認識し、活性酸素生成や過敏感細胞死、抗菌性物質であるファイトアレキシンの蓄積などの防御応答を誘導する。当研究室では、ジャガイモ疫病菌抽出液よりジャガイモ懸濁培養細胞におけるO2-生成誘導活性を指標としたエリシター精製を行い、1つがセラミドであると推定した。そこで、本研究では9種のセラミド関連化合物のエリシター活性を調べた。まずジャガイモ懸濁培養細胞および塊茎でのO2-生成誘導活性を調べたところ、いずれの化合物においても活性は認められなかった。一方、調べた化合物のうちN,N-ジメチルスフィンゴシン(DMS)が塊茎のファイトアレキシン蓄積を誘導した。またDMSによりジャガイモ塊茎および懸濁培養細胞、タバコ懸濁培養細胞BY-2とベンサミアナ葉で細胞死が誘導された。DMS処理ジャガイモ懸濁培養細胞では、核のクロマチン凝集およびDNAラダー化が認められたことより、DMSで誘導される細胞死がプログラム細胞死であることが示された。またベンサミアナ葉においてTRVベクターを用いて各種植物ホルモン応答に関与する遺伝子(Ein2Coi1Sid2Npr1)をサイレンシングし、DMSにより誘導される細胞死への影響を調べた。その結果いずれのサイレンシング株においても細胞死の抑制が認められず、DMSによる細胞死がこれら植物ホルモン情報伝達系を介さないことが示された。
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© 2009 日本植物生理学会
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