日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ科作物の菌根共生に関与する無機養分トランスポーターの解析
*中川 大介小八重 善裕馬場 真里畑 信吾芦苅 基行松岡 信
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p. 0998

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抄録
アーバスキュラー菌根菌は陸上植物の8割以上と共生する普遍的な真菌類である。感染が成立すると植物体外へ伸ばした外生菌糸を介して土壌中の養分を吸収し、内生菌糸を経て、高度に枝分かれした器官である樹枝状体から宿主に養分を供給する。本研究では、イネ科作物の菌根において無機養分の吸収に関与するトランスポーターの同定と機能解析を試みた。まず、菌根誘導型リン酸トランスポーターOsPT11遺伝子のプロモーター領域またはOsPT11のORFとGFPを連結した2種類のコンストラクトを用いて、形質転換イネを作製した。この形質転換体を使うと生きたままOsPT11タンパク質が定量できるため、菌根共生におけるOsPT11の詳細な性状解析が可能である。また、新しく発見したソルガムのリン酸トランスポーター遺伝子についても、菌根共生への関与の可能性を検討した。一方で、アーバスキュラー菌根菌はリン酸のみならず、窒素栄養としてアンモニウムを植物に供給する。しかし、植物の菌根で働くアンモニウムトランスポーターの実体は明らかになっていない。そこでイネのアンモニウムトランスポーター10遺伝子に特異的なプライマーを設計し、Glomus intraradicesを接種して8週後のイネの根から全RNAを抽出してRT-PCRによる発現解析を行った。その結果、5遺伝子が菌根で発現上昇することが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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