抄録
アカシア・マンギウムは、高い成長性を示す熱帯性早生樹で、東南アジア各地で紙・パルプ用材として広く植林されている。精英樹選抜は行われているものの、遺伝子情報をもとにした分子育種は全く進んでいない。本研究では、分子育種を行うための基盤整備として、アカシア・マンギウムの分化中木部およびシュートにおけるEST解析を行ったので報告する。
アカシア・マンギウムの分化中木部およびシュートより、トータルRNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを得たのち、ノーマライゼーション処理を行った。その後、得られたノーマライズドcDNAをベクターにつなぎ、大腸菌に導入してcDNAライブラリーを調製した。得られたcDNAライブラリーから、ランダムに10,752の独立したクローンを選び、PCR反応によりインサートを増幅した。増幅されたインサート配列は、サンガー法によってシーケンシングした。得られた配列をBLASTX解析に供したところ、7,710個の配列については、SwissProtにおいて相同配列が見出され、そのうちの60%が完全長クローンであった。現在、これらの配列のアノテーション作業を進めている。