日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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アルミニウムによるコムギALMT1の活性制御機構
*古市 卓也佐々木 孝行土屋 善幸山本 洋子
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p. 0044

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抄録

酸性土壌に於ける化学ストレス物質であるアルミニウムイオン(Al3+)に対する耐性機構の一つとして根端からの有機酸放出が知られる。これまでに我々はコムギからAl3+によって活性化されるリンゴ酸輸送体、ALMT1(Al-activated Malate Transporter 1)を単離同定すると共に、C末端に存在する親水性領域(CTドメイン)が細胞外に局在することを明らかにしている。本研究に於いて我々は、CTドメインに存在する酸性アミノ酸に変異導入したALMT1蛋白質をアフリカツメガエル卵毋細胞に発現させ、二電極膜電位固定法を用いた電気生理学的機能解析を行った。その結果、3箇所の酸性アミノ酸変異がそれぞれ、Alで活性化されるリンゴ酸放出を完全に抑制したことから、この領域に対するAl3+結合がALMT1の活性を制御する可能性を見出した。また、CTドメイン欠損蛋白質、さらにコムギALMT1のN末膜貫通ドメインとアラビドプシスAtALMT1のCTドメインとのキメラ蛋白質を発現する卵母細胞を用い、CTドメインが果たす役割の重要性及び共通性についても検証した。それにより、CTドメインが輸送機能に重要であること、アラビドプシスのCTドメインとのAl活性化領域に相違があることが示唆された。

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© 2010 日本植物生理学会
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