抄録
真核生物に広く保存されるRNAサイレンシング経路において、Dicer-familyタンパク質とdsRNA結合タンパク質の特異的な相互作用は重要な働きを持つ。本研究はシロイヌナズナのDicer-like 4 (DCL4)による長鎖dsRNA切断におけるdsRNA-binding protein 4 (DRB4)の役割を生化学的に明らかにする事を目的とした。幼植物から調製した粗抽出液を用い、アクチン遺伝子配列由来の500bp dsRNAを基質としたdsRNA切断反応を行った結果、野生型由来の粗抽出液は21ntのsmall RNAを生じ、dcl4-2およびdrb4-1由来の粗抽出液では21ntのsmall RNAを生じなかった。次に、抗DRB4抗体を用いた共免疫沈降によってDCL4を含むDRB4複合体を粗抽出液から精製しdsRNAと反応させた結果、21ntのsmall RNAを生じた。また、抗DCL4抗体を用いて精製したDCL4複合体も同様の活性を示した。drb4-1由来の粗抽出液から精製したDRB4を欠くDCL4複合体はdsRNA切断活性を示さず、精製した複合体にリコンビナントDRB4を添加することでsmall RNAの生成が回復した。これらの結果は、DRB4がDCL4による長鎖dsRNA切断と21ntのsmall RNA生成において重要な役割を持つことを示唆している。