日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナRILを用いたQTL解析によるセレン耐性遺伝子の同定
*野田 祐作玉置 雅紀中嶋 信美
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p. 0070

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抄録
土壌中の汚染物質を浄化する技術の一つとして、植物を用いた土壌浄化技術(ファイトレメディエーション)がある。この方法による汚染物質の浄化には汚染物質の吸収が必要であるが、その前提として植物が対象汚染物質に対して耐性を持つことが必要となる。本研究は、水や土壌の汚染物質の一つである金属セレンに着目し、異なるセレン耐性を示す2種類のシロイヌナズナ生態型(セレン耐性Col-0、セレン感受性Ws-2)を用いてRIL系統を作製し、これを用いたQTL解析により植物のセレン耐性に関与する遺伝子の同定を試みた。まずシロイヌナズナ生態型Col-0とWs-2を掛け合わせたF1を獲得し、さらに自殖後代系統(F7)を205系統得ることが出来た。これらのうち99系統を用いてセレン存在下、非存在下における根の伸長量を測定した。また53個のSSLP及びCAPSマーカーを用いて遺伝子型の決定を行った。これらのデータを用いてQTL解析を行ったところ、染色体4上のciw7マーカーの近傍にセレン耐性に有為に関与する領域があることが確認できた。更にこのマーカーを中心にセミファインマッピングを行ったところ、染色体4上のF13C5マーカー付近にセレン耐性に関与する遺伝子が存在することを示唆する結果が見られた。現在この領域には、約450個の候補遺伝子が含まれているため、更にマーカーを増やしてファインマッピングを行う予定である。
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© 2010 日本植物生理学会
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