日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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基部陸上植物ゼニゴケにおけるオーキシン生理応答の観察と可視化
*野々村 麻衣子石崎 公庸大和 勝幸河内 孝之
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p. 0091

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抄録
近年シロイヌナズナを用いた分子遺伝学の進展により、オーキシンの機能と応答メカニズムの一端が明らかになってきた。しかし、被子植物以外の植物種においてはオーキシン応答が確認されているものの、機能と応答メカニズムに関する知見は少ない。そこで本研究は、植物の形態形成におけるオーキシン機能の原型に関する知見を得ることを目的とし、陸上植物進化の基部に位置する苔類ゼニゴケにおけるオーキシン応答を解析した。まず、ゼニゴケに人工オーキシンnaphthaleneacetic acid (NAA) 1 μM処理を行うと本来葉状体の下面からのみ発生する仮根が上面からも発生することが観察された。また、オーキシン極性輸送阻害剤2,3,5-triiodobenzoic acid (TIBA) 10 μM処理により葉状体発生において背腹軸の逆転が観察された。これらの結果から葉状体の背腹性決定におけるオーキシンの関与が示唆された。次に、ゼニゴケ形態形成におけるオーキシン応答場所を可視化する目的で、ダイズ由来のオーキシン誘導性プロモーターGH3にβグルクロニダーゼ遺伝子(GUS)を連結したコンストラクトを導入した形質転換体を作製した。得られた形質転換体において、ゼニゴケ体内のオーキシン応答をGUS活性として定量化できることを確認し、ゼニゴケ形態形成においてオーキシンに応答する組織を特定した。
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© 2010 日本植物生理学会
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