日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

LC-ESI-MS/MSによる植物のインドール-3-アセトアルデヒド分析法の確立
*増口 潔菅原 聡子田中 慧太軸丸 裕介花田 篤志小柴 共一夏目 雅裕川出 洋酒井 達也神谷 勇治林 謙一郎笠原 博幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0095

詳細
抄録
オーキシンは植物細胞の伸長や維管束の形成、屈性など、植物の生長や環境応答において中心的な役割を果たすホルモンである。インドール-3-酢酸(IAA)は古くから研究されている天然型オーキシンであるが植物における生合成経路は未だ不明な点が多い。我々はIAA生合成中間体の分析を基盤としてIAA生合成経路の全容解明に向けた研究を進めている。インドール-3-アセトアルデヒド(IAAld)はIAA生合成中間体の一つと予想されているが、化学的に不安定であるため、これまで植物から検出することが困難であった。今回、我々はこれまでのHPLCと固相抽出カラムを用いた迅速な精製過程を改良し、新たにLC-ESI-MS/MSによるIAAld分析法を確立した。この方法によりシロイヌナズナの野生型から誘導体化することなく直接IAAldを検出することに成功した。また、安定同位体標識化したインドールやトリプトファンを投与したシロイヌナズナにおいてIAAldが高効率で標識化されることも確認した。これまでにシロイヌナズナでは4つの独立したIAA生合成経路が存在する可能性が示唆されているが、IAAldを含む経路は未だ特定されていない。現在、シロイヌナズナのYUCCA遺伝子やTAA1遺伝子などの過剰発現体および欠損変異体を用いてIAAldを介する経路の解析を進めており、これらの結果について報告する。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top