抄録
暗所作動型プロトクロロフィリド(Pchlide)還元酵素(DPOR)はニトロゲナーゼ類似酵素であり、BchL蛋白質のホモ二量体からなるL-蛋白質と、BchN蛋白質とBchB蛋白質のへテロ四量体からなるNB-蛋白質から構成される。L-蛋白質とNB-蛋白質は、各々還元コンポーネントおよび触媒コンポーネントとして機能し、PchlideのポルフィリンD環を立体特異的に還元してクロロフィリドaを生成する反応を触媒する。私達はこれまでに光合成細菌Rhodobacter capsulatusのNB-蛋白質の結晶構造を決定し、ニトロゲナーゼのMoFe-蛋白質と立体構造的に高い類似性を示すことを明らかにした。しかし、BchB蛋白質のC-末端領域(110アミノ酸残基)は構造が未決定である。このC-末端領域は、MoFe-蛋白質を構成するNifK蛋白質には見いだされていないが、全ての既知のBchB(ChlB)蛋白質で保存されていることから、DPOR反応において重要な機能を果たしていると推測される。このC-末端領域を完全に、または部分的に欠失した一連の変異型BchBを作製し、精製を行なった。全ての変異型BchBについてBchNとの複合体が形成されたことから、C-末端領域は複合体形成に必要ではないことが分かった。精製した変異型NB-蛋白質の活性およびPchlide結合能について報告する。