日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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オオムギのケイ素分配に関与するトランスポーターの解析
*馬 建鋒山地 直樹千葉 由佳子三谷 奈見季
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p. 0157

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抄録
ケイ素の葉や穀粒等への集積は生物的及び非生物的ストレスから植物を守るのに重要である。オオムギでは、根によるケイ酸の吸収は内向きと外向きのケイ酸トランスポーターHvLsi1およびHvLsi2を介して行われることが明らかとなっているが、吸収されたケイ酸がどのようにして葉や穀粒に分配されるかについてはまだ明らかにされていない。本研究では、HvLsi1の相同遺伝HvLsi6の解析及びとHvLsi2のさらなる解析から、これらのトランスポーター遺伝子がオオムギでのケイ素の分配に関与している可能性を見出した。HvLsi6は根や葉身、葉鞘及び節で発現していた。根の先端では全ての細胞で発現し、葉身、葉鞘では導管に隣接する木部柔細胞、節では肥大維管束の導管に付随する転送細胞で発現していた。またHvLsi2はこれまでに報告された根での発現以外に、節の転送細胞の外側に隣接する柔細胞分散維管束側に偏った極性を持って発現していた。これらのトランスポーターの局在性から、HvLsi6は肥大維管束の導管からのケイ酸のUnloading、 HvLsi2はHvLsi6によって運ばれたケイ酸の分散維管束へのre-loadingに関与していることが考えられる。したがって、節におけるこの両トランスポーターの共同作業によってケイ酸が維管束間を輸送され、穀粒へケイ素沈積に機能していると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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