抄録
我々は、UPLC-TQMS を用いた大規模な標準化合物の高感度検出条件 (multiple reaction monitoring, MRM) の取得および代謝産物の一斉解析手法の確立に成功している [1]。現在、さらに発展させた高速、高感度、広範囲分析系を構築し、植物バイオリソースに適用している [2,3]。一方、多くの代謝産物は標準化合物が入手できない。そこで共著者の松田は、多様な植物代謝産物に対応できる非ターゲットのMS/MS情報 (MS2T) 取得法を構築した (http://prime.psc.riken.jp/) [4,5]。この MS2T から最適な MRM 条件を推定すれば、標準化合物に依存しない広範囲分析が可能になる。本発表ではシロイヌナズナの各器官から取得された2,788個の MS2T から合計50,184条件の推定 MRM を作成した。UPLC-TQMS で測定した結果7割以上の MS2T が検出可能な MRM 条件として同定できた。この結果から標準化合物およびMS2Tから得られた MRM を統合した超広範囲解析が可能であることが示唆された。
[1-3] Sawada et al., PCP2009a-c, [4] Matsuda et al., Plant J 2009, [5] Akiyama et al., In Silico Biol 2008