抄録
病原菌認識後に誘導されるオキシダティブバーストは,主に細胞膜に存在するNADPHオキシダーゼの活性化により引き起こされると考えられている.これまでに,ジャガイモのNADPHオキシダーゼであるStRBOHBは,カルシウム依存型タンパク質リン酸化酵素(StCDPK5)によりN末端領域がリン酸化されて活性化されることを明らかにしてきた(Kobayashi et al. 2007 Plant Cell).今回,StCDPK5による活性化機構を調べるために,StRBOHBに対する活性化能が低いCDPKとStCDPK5との間でdomain swappingを行った.トマトのSlCDPK2は,エチレン合成に関与するSlACS2をリン酸化するCDPKであり,Nicotiana benthamiana葉においてアグロバクテリウムを介して一過的にStRBOHBと共発現させても活性酸素生成は観察されなかった.そこで,StCDPK5とSlCDPK2との間でdomain swappingを行った結果,StCDPK5のvariable domainとkinase domainをSlCDPK2に導入した場合においてのみStRBOHBに依存した活性酸素生成が確認された.この結果は,StCDPK5のvariable domainおよびkinase domainがStRBOHBの活性化に重要であることを示唆している.