日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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転写因子OsNAC4によって誘導される過敏感細胞死の機構解析
*大坪 由佳松井 弘善多賀 有里日比野 孝紀金田 隆志磯貝 彰蔡 晃植
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p. 0187

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抄録
過敏感細胞死は、植物が非病原性菌株を認識したときに誘導される免疫反応の一つであり、核DNAの断片化や膜の透過性喪失などを伴うプログラム細胞死である。我々はこれまでに、イネの過敏感細胞死はOsNAC4によって誘導されることを明らかにした。そこで、OsNAC4による過敏感細胞死誘導の機構を明らかにすることを目的とし、過敏感細胞死誘導時のOsNAC4の局在について調べた。その結果、過敏感細胞死誘導時にOsNAC4はリン酸化されることで核に移行することが示された。また、このOsNAC4の核移行には、分子内のNACドメインのN末端とC末端の領域で制御されることが示された。次に、OsNAC4のRNAi形質転換体を用いたマイクロアレイ解析によって、OsNAC4が139個の遺伝子の発現を制御することが明らかになったので、OsNAC4による転写制御機構について調べた。まず、酵母two-hybrid法を用いてOsNAC4と相互作用するタンパク質の探索を試みたところ、同じサブファミリーに属するOsNAC3と相互作用することが確認された。そこで、OsNAC3が過敏感細胞死誘導に関与するかを一過的発現によって調べたところ、OsNAC3も過敏感細胞死を誘導することが明らかになった。以上の結果から、OsNAC4がOsNAC3と二量体を形成し、過敏感細胞死誘導に関与する遺伝子の発現を制御している可能性が示された。
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© 2010 日本植物生理学会
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