日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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進化的に保存された糖誘導型核タンパク質の同定と解析
*石田 哲也秋 利彦柳澤 修一
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p. 0222

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抄録
糖は生物にとって主要な炭素源でありエネルギー源であり、また、成長を制御するシグナルの重要な一つである。しかしながら、糖シグナル伝達と応答のための分子機構は解明されていないことが多い。今回、イネの核のプロテオーム解析で同定したタンパク質のin silicoスクリーニングにより、イネとシロイヌナズナの間で保存されており、糖によって発現が誘導されるタンパク質として、2つのWD40タンパク質(NuGWD1と2)を選抜し、解析を行った。イネ、シロイヌナズナの両方で、グルコースの添加によってNuGWD12のmRNAレベルは上昇し、この上昇はヘキソキナーゼの変異により部分的に抑制された。シロイヌナズナのAtNuGWD1遺伝子の破壊株は配偶子形成異常もしくは胚致死であった。また、イネのOsNuGWD1タンパク質を用いたGST pull down assayの結果、いくつかのリボソームタンパク質がOsNuGWD1タンパク質と結合することが示唆された。NuGWD1と2のホモログは酵母からヒトまで進化的に保存されており、酵母では18S rRNAの生合成や40Sリボソーム小サブユニットの形成に関わっていることが知られている。これらのことから、植物では、糖レベルの上昇はNuGWD1と2の発現を誘導して発生・成長に不可欠なリボソーム形成を促進することが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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