抄録
維管束植物において、根端メリステムの活性を維持することは根系の発達にとって重要である。我々は根端メリステムの維持機構を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナから根の成長・発生に異常を示す劣性変異体LR11-4を単離し、解析を行った。LR11-4変異体では、1)主根長が野生型の約50%と短い、2)側根形成頻度は野生型と同程度だが、側根がほとんど伸長せず停止する頻度が高い、といった表現型を示す。精密マッピングの結果、LR11-4変異体ではカルビン回路やデンプン合成に関わるプラスチド局在型Fructose-1,6-Bisphosphate Aldolase1 (FBA1) 遺伝子(At2g01140)にナンセンス変異が起きていた。FBA1プロモーター制御下でFBA1を発現させる遺伝子(pFBA1::FBA1)の導入によってLR11-4変異体の表現型が部分的に相補したことから、LR11-4の原因遺伝子がFBA1であることが明らかとなった。また、FBA1ゲノム配列の制御下でFBA1-GFP融合タンパク質を発現させたところ、根冠や葉のプラスチドに局在が見られた。これらの結果から、シロイヌナズナの根端メリステムの維持にFBA1が関与する可能性が強く示唆された。