日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ミヤコグサの根粒形成遠距離抑制に関わる KLV 遺伝子の分子遺伝学的解析
*宮澤 日子太高橋 宏和吉良(岡) 恵利佳中園 幹生福田 裕穂川口 正代司
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p. 0298

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抄録
マメ科植物は根粒菌と共生し根に根粒という器官を形成する。根粒の形成数は宿主植物によって制御されおり、ミヤコグサでは地上部で機能すると考えられる HAR1 を介した遠距離シグナル伝達による抑制機構が存在することが示されている。
ミヤコグサ klv 変異体は har1 変異体同様に根粒過剰着生の表現型を示す。KLVHAR1 同様 LRR-RLK に属する遺伝子をコードしており、変異体を用いた接ぎ木実験によって地上部で機能し根粒の形成を抑制すると考えられている。
二重変異体を作成したところ、klv har1 二重変異体は klv 変異体と比べ相加的な根粒形成数にはならなかったことから、 KLV は根粒形成の遠距離制御において HAR1 と同一経路で機能することが示唆された。
また LjCLE-RS1-RS2 は根粒菌の感染に応答して発現し、根で過剰発現させることによって HAR1 依存的な根粒形成の全身的抑制を誘導することから、その遺伝子産物は根粒形成の遠距離抑制において根で生成される遠距離シグナルの候補と考えられている。LjCLE-RS1-RS2 を毛状根形質転換法によって klv 変異体の根に導入しても根粒形成抑制の効果は見られなかった。このことから、LjCLE-RS1-RS2 過剰発現による根粒形成の抑制には HAR1 だけでなく KLV が必要なことも明らかになった。
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© 2010 日本植物生理学会
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