日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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菌根共生マーカー遺伝子の確立とその利用
*武田 直也今泉(安楽) 温子林 誠Parniske Martin川口 正代司
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p. 0299

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抄録
菌根共生は植物の陸上への侵出と同時期に成立したとされる植物-微生物間相互作用であり、この共生による栄養供給は植物の生育、環境適応に貢献している。さらにマメ科植物は菌根共生システムの一部を流用することで、根粒菌との相互作用による根粒共生を成立させ、窒素固定能を獲得した。近年の研究から、根粒共生システムを構成する遺伝子群の発見など様々な知見が得られ、その知見は根粒共生と共有される菌根共生システムの解明にも適用されている。しかし、この共生の起源となった菌根共生特異的システムに関する知見は乏しく、研究ツールなどの整備が待たれている。我々はマメ科植物ミヤコグサをモデルとして菌根共生の指標となる分子マーカーの確立を目的に、菌根共生特異的に誘導される遺伝子SbtM1の解析を行った。SbtM1は菌根菌感染の初期段階から誘導され、宿主内での共生器官の形成にかかわる遺伝子であることを証明した。SbtM1 promoter:Venus融合タンパク質は菌根菌感染細胞を示すマーカーとして用いることができ、SbtM1がもつ分泌シグナルを融合させたタンパク質SbtM1 promoter:SP:Venusでは分泌された蛍光タンパク質により宿主内の菌根菌を可視化することに成功した。われわれはこのマーカー遺伝子のプロモーターの特性を生かして菌根菌特異的なシス領域の探索を行い、同定した2つのシス領域の解析を行った。
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© 2010 日本植物生理学会
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