抄録
多くのシアノバクテリアは開環テトラピロールを結合した光受容体(シアノバクテリオクロム)をもち、様々な光応答を示す。本研究では、好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatusの推定光受容体Tlr0924の解析を行った。Tlr0924は色素結合GAFドメインの他に、cyclic dimeric guanosine monophosphate(c-di-GMP)を合成するGGDEFドメインをもっており、その活性の光調節が予想された。本研究ではTlr0924全長をシアノバクテリアと大腸菌で発現・精製した。これらは色素を結合し、光照射によって可逆的に青色光吸収と緑色光吸収を示した。また、GTP添加で、c-di-GMP生成の副産物であるピロリン酸の生成を確認した。c-di-GMPの生成は現在質量分析によって確認中である。これらのジグアニル酸サイクラーゼ活性の光調節についても検討中である。また、青色光、緑色光の照射下での野生株とtlr0924破壊株の表現型の解析を試みている。