日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナbop1bop2変異体の葉の表現型は腋芽の発生異常と関係がある
*石川 直子塚谷 裕一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0378

詳細
抄録
シロイヌナズナBLADE-ON-PETIOLE1 (BOP1), BOP2は、若い葉原基から成熟葉の向軸基部領域で発現し、先端基部軸及び向背軸にそった葉の正常な分化に必要である。またbop1bop2機能欠損型二重変異体では、葉柄に異所的な葉身が形成されると共に、葉の形態形成が野生型よりも長期間継続する。これまで我々は、BOP1, BOP2には葉の有限成長を司る何らかの働きがあると考え、そのメカニズムを解明すべく解析を行ってきた。
その過程で今回我々は、bop1bop2の各葉位で、腋芽形成異常が見られることを見いだした。長日環境で生育させた野生型では、栄養成長期のロゼット葉の腋芽成長は抑制され、第一葉など低位葉の腋芽は全く成長しない。一方bop1bop2では第一葉から腋芽が発達し、さらに後位葉では腋芽発達に伴い葉柄上の葉原基形成が活発になる。これより少なくともbop1bop2の葉柄における葉身形成の一部は、腋芽形成に伴う異常である可能性が考えられる。またbop1bop2の葉柄での葉身形成は、ジベレリン投与で抑制された。現在、bop1bop2の葉と腋芽の発生異常の関連を解明するため、bop1bop2と腋芽形成能が低下した変異体との多重変異体を作成している。上記結果を中心に、bop1bop2における腋芽形成の異常と、葉柄上の異所的葉身形成、葉の有限成長を司る機構の関係を議論する。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top