日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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アラビドプシスにおいて核局在型EB1は紡錘体の編成に必要である
*小牧 伸一郎阿部 竜也Coutuer SilvieInze DirkRussinova Eugenia橋本 隆
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p. 0389

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抄録
微小管のプラス端に集積するタンパク質は+Tipsと呼ばれ、微小管の動態に大きな影響を与えることが知られている。その内の1つであるEB1は酵母から動物にいたる幅広い生物に存在し、他のタンパク質と機能的複合体を形成することで、微小管の配向や安定性に関与することが多くの実験より示されている。アラビドプシスには3つのEB1ホモログ(EB1a, EB1b, EB1c)が存在するがその機能の違いは明らかになっていない。
本研究では植物に特有のサブタイプに属するEB1cが分裂領域において主に発現し、またそのC末に核局在シグナルを持つことを明らかにした。eb1c変異体の根の分裂領域を調べたところ細胞分裂に関わる微小管構造物である紡錘体やフラグモプラストに異常な形を示すものや正常な分裂面に対し傾いているものが有意に高い割合で見られた。微小管重合阻害剤であるオリザリンをeb1c変異体に処理したところ高感受性を示し、根の伸長が抑制された。さまざまな断片のEB1配列を用いて行った相補試験より、eb1c変異体の表現形の回復にはEB1cのC末が必要であることがわかった。またタバコBY-2細胞においてRNAi でEB1cを抑制したところ染色体の分離に異常が観察された。以上の結果よりEB1cは分裂期の微小管構造(特に紡錘体の構造や動態)を制御ことで分裂面の規定や染色体の分離に関わっていることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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